車中泊手帖

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車中泊避難で気をつけることは?足を下ろして4時間・水分は半日500mlが境目【2026年10月】|内閣府・厚労省・新潟県の指針とエコノミークラス症候群の予防

災害時の車中泊避難で気をつけることを、内閣府の手引き・ガイドライン、厚生労働省の予防Q&A、新潟県・柏市・京都府の公式資料で突き合わせました。新潟県は「車で足を下ろして4時間以上座っている、寝ている」「水分なら半日で500ml」をエコノミークラス症候群のリスク項目に挙げ、厚生労働省は1時間に1度のかかとの上下運動(20〜30回程度)を例示しています。備えは飲料水1人1日3リットル・携帯トイレ1人1日5回が目安で、3人で3日なら水27リットル・携帯トイレ45回分です。

更新公式ページの確認日 2026年10月11日車中泊手帖 編集部

灯りのついたランタン
写真: Joshua Bartell(Unsplash)

災害時の車中泊避難で気をつけることは、エコノミークラス症候群を防ぐ「時間」と「水分」の境目を知っておくことです。新潟県のパンフレットは「車で足を下ろして4時間以上座っている、寝ている」「水分なら半日で500ml」をリスク項目に挙げ、厚生労働省は1時間に1度のかかとの上下運動(20〜30回程度)を例示しています。

車に積む備えの目安は、飲料水が1人1日3リットル、携帯トイレが1人1日5回、どちらも最低3日分です。3人家族なら水27リットル・携帯トイレ45回分になります。

編集部の結論は、「車で避難するなら、足を下ろした姿勢のまま4時間を超えない・半日で水500mlを下回らない・最寄りの避難所で登録する、の3つを守る」です。車を停める場所は、住んでいる市区町村の公表する車中泊避難の場所を災害時の車中泊避難はどこ?で確かめてください。

夜の野原に停まる小さなキャンパー
写真: Devon MacKay(Unsplash) (Unsplash License(商用利用可・帰属表示は任意))

車中泊避難で気をつけることは、資料によってどう違うか

国・県・市の5つの資料が、車中泊避難の注意点として挙げていることを並べました。運動の間隔を数字で書いているのは厚生労働省と新潟県、水分の量を数字で書いているのは5つのうち新潟県だけです。

資料 体を動かす間隔 水分 寝る姿勢・換気
厚生労働省 予防Q&A 1時間に1度、かかとの上下運動20〜30回程度。歩く(3〜5分程度) 適度な水分を取る 長時間同じ(特に車中等での窮屈な)姿勢でいない
新潟県 パンフレット 4、5時間ごとに歩く。ふくらはぎのマッサージ 飲料水は1人1日3リットルが目安。半日で500mlに届かなければ水分不足 水平に、足を伸ばしたまま寝る。足を高くして寝る
柏市 ときどき軽い体操やストレッチ運動 十分にこまめに水分を取る 眠るときは足をあげる
京都府 ときどき軽い体操やストレッチ運動。かかとの上げ下ろし運動・ふくらはぎを軽くもむ 十分にこまめに水分を取る 眠るときは足をあげる。エンジンをかける際は30分〜1時間間隔で換気
内閣府 手引き 適度な運動の実施を広報する 水分補給を広報する 車内で足を伸ばして寝ることのできる状態、適切な人数での利用、換気

内閣府の手引きは自治体向けの資料で、住民に何を周知するかを書いています。読者が自分で守る数字は、厚生労働省と新潟県の資料にあります。

何時間座りっぱなしだと危ないのか

新潟県のパンフレットは、エコノミークラス症候群のリスクチェックシートを載せ、「該当数が多いほど注意が必要」としています。数字で境目を書いている項目と、厚生労働省・京都府の数字をあわせて表にしました。

あなたの状態 境目の数値 資料の扱い
車で足を下ろして座っている・寝ている 4時間以上 リスク項目(新潟県)
起きているあいだ足を動かしていない 1時間に1度 かかとの上下運動20〜30回程度、歩く3〜5分程度(厚生労働省)
日中に水分・食事がとれていない 6時間以上(水分なら半日で500ml) 「水分不足」のリスク項目(新潟県)
足のけが・骨折・やけど、手術 手術から3カ月以内 リスク項目(新潟県)
妊娠中・出産後 出産後2カ月以内 リスク項目(新潟県)
女性 男性より1.5倍程度多く発症 リスク項目(新潟県。日本の災害後の結果に基づく)
エンジンをかけている 30分〜1時間間隔 換気する(京都府)

新潟県の資料では、片側の足がひどくむくんで痛い、片側の足に運動していないのに筋肉痛のような痛みがある、息苦しい、唇の色が悪い、のどれか1つでも当てはまれば救護所へ行くよう書いています。厚生労働省の予防Q&Aも、片方の膝から下の発赤・腫脹・痛みが出たら急いで医療機関を受診するよう求めています。

新潟県「クルマで避難生活するときのリスクとソナエ」(車中泊避難のパンフレット) の基本データ更新日 2026年10月11日

発行元新潟県 防災局防災企画課
原文の URLhttps://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/attachment/362880.pdf
要点緊急時に車で逃げる「自動車避難」と、避難生活で車を使う「車中泊避難」(半日や1日単位ではなく数日間車で生活すること)を分け、安全な車中泊避難のポイントを3つ(安全な場所を選ぶ・車中で体調を崩さない・必要なモノを用意する)挙げる。エコノミークラス症候群のリスクチェックシートの項目に「車で足を下ろして4時間以上座っている、寝ている」「水分不足(日中の水分、食事が6時間以上とれていない【水分なら半日で500ml】)」「3カ月以内に手術を受けた」「女性である(日本の災害後では男性よりも女性の方が1.5倍程度多く発症)」「妊娠中、または出産後2カ月以内」などがあり、該当数が多いほど注意が必要とする。対処方法は4、5時間ごとに歩く・ふくらはぎのマッサージ・水分補給・足を高くして寝る・節酒禁煙・着圧ソックスの着用。片側の足がひどくむくんで痛い、息苦しいなどの症状が1つでも該当すれば救護所へ行くよう求める。備えは携帯トイレ(1人1日5回を目安)、水・食料(最低3日分×人数分、飲料水は1人1日3リットルが目安)、燃料(普段からこまめな給油)、弾性ストッキングなど。大雪時はマフラー周りの除雪、令和元年東日本台風では屋外で亡くなった方のうち54%が車での移動中だったとして大雨時の自動車避難を控えるよう求める。新潟大学の榛沢和彦特任教授らが監修。
原文の引用車で足を下ろして4時間以上座っている、寝ている。/水分不足である。(日中の水分、食事が6時間以上とれていない【水分なら半日で500ml】、汗をたくさんかいた、下痢や嘔吐が続いている、唇や手足がカサカサしている)/対処方法 4、5時間ごとに歩く/携帯トイレ 1人1日5回を目安に人数分の用意を。/最低3日分×人数分の備蓄が必要。飲料水は1人1日3リットルが目安。/1つでも該当する場合は救護所に行ってください。
施行・確認日新潟県「防災に役立つ各種パンフレットを作成しています」(ページの更新日 2026年4月15日)に掲載のPDF。確認日 2026-10-11

出典:

厚生労働省の「1時間に1度」と新潟県の「4、5時間ごと」は矛盾しないか

中身が違います。厚生労働省の1時間に1度は、かかとの上下運動(20〜30回程度)の例です。歩く時間は3〜5分程度と書いていますが、何時間おきに歩くかは書いていません。

新潟県の4、5時間ごとは、対処方法の「歩く」の間隔です。同じ資料が「足を下ろして4時間以上」座っていることをリスク項目にしているので、歩くまでの時間をそこで区切っていると見られます。

2つを並べると、厚生労働省はかかとの運動を1時間に1度、新潟県は歩くことを4、5時間ごとと、別の動作に別の間隔を示しています。新潟県は、これらは予防方法のため完全に発症を防ぐものではないとも書いています。

何人分・何日分を車に積んでおけばいいか

新潟県のパンフレットは、飲料水を1人1日3リットル、携帯トイレを1人1日5回、水と食料を最低3日分×人数分としています。内閣府のトイレのガイドラインも、排泄の回数は1日5回が平均的で、携帯トイレはまず3日分を目標にするとしています。

この目安で、人数と日数ごとの量を計算しました。

人数 日数 飲料水(3リットル×人数×日数) 携帯トイレ(5回×人数×日数)
1人 3日 9リットル 15回分
2人 3日 18リットル 30回分
3人 3日 27リットル 45回分
4人 3日 36リットル 60回分
4人 1日 12リットル 20回分

試算例として、夫婦と子ども1人の3人で、地震のあと3日間を車で過ごす場合は、2リットルのペットボトルで14本(28リットル)、携帯トイレは45回分になります。新潟県は「トイレを我慢することが多い」こともリスク項目に入れ、トイレが気になって食事や水分を十分に取らないと発症しやすくなると書いています。水と携帯トイレは同じ日数分そろえておくのが、2つの資料の数字に合う積み方です。

内閣府「避難所におけるトイレの確保・管理ガイドライン」(令和6年12月改定)の携帯トイレの数 の基本データ更新日 2026年10月11日

発行元内閣府(防災担当)
原文の URLhttps://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/2412hinanjo_toilet_guideline.pdf
要点携帯トイレの必要数の計算方法として、1日当たり必要な便袋の枚数を「最大想定避難者数×5回」とし、排泄の回数は5回が平均的であると言われているとする。携帯トイレの備蓄目標数は「1日当たり必要な便袋数×日数」で、まずは3日分を目標にするとしている。平均的な排泄量は約200〜300mlとしている。
原文の引用①1日当たり必要な便袋の枚数(計算式)最大想定避難者数(a)×5回 ○排泄の回数は5回が平均的であると言われています。/②携帯トイレの備蓄目標数(計算式)1日当たり必要な便袋数 × 日数 ○携帯トイレの備蓄目標数は、何日間分備蓄するかを決めます。まずは、3 日分を目標にしましょう。
施行・確認日平成28年4月策定、令和6年12月改定。確認日 2026-10-11

出典:

車中泊避難でも避難所に行く必要はあるか

あります。柏市は、車中泊など避難所の外で避難する場合も、安否確認や情報・物資提供のため、最寄りの避難所で避難者カードの登録が必要としています。避難所の敷地で車中泊する場合は、運営上の必要で車の移動を頼むことがあるとも書いています。

内閣府の手引きは、これまでの災害では車中泊避難者が昼間は片付けで自宅や職場へ行き、夜に戻るケースが多かったとしています。そのため自治体に、アウトリーチ(巡回)や本人による情報の登録で状況を把握するよう求めています。熊本地震では、グランメッセ熊本の駐車場が満杯(2,200台)になり、保健師等の巡回でエコノミークラス症候群の予防チラシや弾性ストッキングが配られました。

内閣府の避難所運営ガイドラインも、車避難者へのエコノミークラス症候群防止の周知と、弾性ストッキングの配布の検討を、自治体の対策項目に入れています。柏市が登録を求める理由も、安否確認と情報・物資の提供です。

柏市の車中泊避難についての案内 の基本データ更新日 2026年9月27日

発行元柏市 危機管理部防災安全課
原文の URLhttps://www.city.kashiwa.lg.jp/bosaianzen/anshinanzen/disaster/disaster_ready/syatyuuhaku.html
要点車中泊避難はエコノミークラス症候群の危険性が指摘されていることなどから長期の避難生活には適さず、一般的に推奨されない避難方法で、柏市も推奨していない。やむを得ず選ぶ場合の注意点を示し、避難所外で避難する場合も、安否確認や情報・物資提供のため最寄りの避難所で避難者カードの登録を行う必要があるとしている。避難所敷地内で車中泊避難する場合は車両の移動を求めることがある
原文の引用車中泊避難は、同じ姿勢をとり続けることによるエコノミークラス症候群の危険性が指摘されていることなどから、長期の避難生活には適さず、一般的には推奨されない避難方法となっており、柏市においても推奨しておりません。/避難所外(車中泊等)で避難を行う場合であっても、安否確認や情報・物資提供のため、最寄りの避難所で避難者カードの登録を行う必要がございます。
施行・確認日確認日 2026-09-27(ページの更新日 令和8(2026)年3月23日)

出典:

車中泊避難を避けたほうがいいのはどんな人か

内閣府の手引きは、自治体が「車中泊を避けるべき方」を広報し、妊産婦が車中泊を行うことが望ましくない場合を周知するよう書いています。

厚生労働省の予防Q&Aが特に注意が必要とするのは、高齢者、肥満の方、妊娠中・出産直後の方、外傷や骨折の治療中の方、最近手術を受けた方、下肢に麻痺のある方、がんの方、ピルを服用中の方、過去に深部静脈血栓症や肺塞栓症になった方などです。避難中に長い間座ったまま・横になったままの方や車の中で泊まっている方、とくに高齢の方にも注意を求めています。

新潟県のパンフレットは、シートに座った(運転姿勢の)まま寝ることは極力避け、フラットな状況が保持できるようなら車中避難生活もできるが、難しいようなら避難所等への避難を検討するよう書いています。

冬・大雨・地震では何に気をつけるか

災害の種類で、気をつけることが変わります。

  • 冬(大雪): マフラーが雪で埋もれると排気ガスが車内に逆流し、一酸化炭素中毒のおそれがあります(新潟県)。京都府は、大雪時は車での避難を控えるよう求めています。内閣府の手引きも、冬は低温や積雪でマフラーが埋まることによる一酸化炭素中毒、夏は高温や熱中症への注意を挙げています
  • 大雨: 令和元年東日本台風では、屋外で亡くなった方のうち54%が車での移動中でした(新潟県)。避難経路が浸水する前に早めに避難し、危険を感じたら車での移動は控えるよう書いています
  • 地震: 建物や電柱、看板などが倒れてくる危険があるので、周辺に倒れてきそうな物がないかを駐車前に確かめるよう求めています(新潟県)

京都府の車中避難場所は風水害の一時的な避難の場所で、避難が概ね一晩を超える場合は最寄りの避難所へ移るよう求めています。一酸化炭素の濃度の測定結果は車中泊の危険は一酸化炭素とエコノミークラス症候群にあります。

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よくある質問

車中泊避難で一番気をつけることは何ですか?

公式資料がそろって挙げるのはエコノミークラス症候群です。新潟県のパンフレットは「車で足を下ろして4時間以上座っている、寝ている」「水分不足(水分なら半日で500ml)」「トイレを我慢することが多い」などをリスク項目にしています。冬はマフラーが雪で埋まることによる一酸化炭素中毒にも注意が必要です(内閣府の手引き)。

車中泊避難ではどのくらいの間隔で体を動かせばいいですか?

厚生労働省の予防Q&Aは、1時間に1度のかかとの上下運動(20〜30回程度)と3〜5分程度の歩行を例に挙げています。新潟県のパンフレットは対処方法に「4、5時間ごとに歩く」を挙げ、足を下ろして4時間以上座っていることをリスク項目にしています。

車中泊避難の水と携帯トイレは何人分・何日分用意すればいいですか?

新潟県のパンフレットは、水・食料を最低3日分×人数分、飲料水は1人1日3リットル、携帯トイレは1人1日5回を目安にしています。3人で3日なら飲料水27リットル、携帯トイレ45回分です。内閣府のトイレのガイドラインも排泄の回数を1日5回、備蓄はまず3日分を目標としています。

車中泊避難でも避難所に行く必要はありますか?

あります。柏市は、車中泊など避難所の外で避難する場合も、安否確認や情報・物資提供のため最寄りの避難所で避難者カードの登録が必要としています。内閣府の手引きも、車中泊避難者の状況をアウトリーチや本人による情報の登録で把握するとしています。

この記事の更新

  • 2026年10月11日初版。内閣府の在宅・車中泊避難者等の支援の手引き(令和6年6月)、避難所運営ガイドラインとトイレの確保・管理ガイドライン(令和6年12月改定)、厚生労働省のエコノミークラス症候群の予防ページと予防Q&A、新潟県の車中泊避難パンフレット、柏市・京都府の車中泊避難の注意点を掲載

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